瞬間最大稚拙

うだつの上がらない人のための就職活動日誌

欲望をたきつけてほしくて本屋に行っている

何もすることがなくて退屈な日は、モテたくて本屋に行く。ただしモテると言っても、サブカル風の男性がナンパをしてくれるとかそういう話ではない。本屋に行ったら、本にモテるのだ。本屋に行ったら、多くの本たちが「私を買って、私を買って」と叫んでいるのである。あるものは凝ったデザインを施され、あるものは不安をあおるようなタイトルを身にまといながら。それらの本たちが言いたいことはただ一つ、「私に注目して、手にとって、そしてお金を払って」である。

書店は売春宿のようなもの、展覧会は乱婚パーティーのようなもの、文化とは破廉恥きわまりない無節操なもの…

 

暮らしの哲学―やったら楽しい101題 (ヴィレッジブックス N ト 1-1)

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私はこの言葉が大好きだ。本たちがあの手この手で私の関心を引こうとする状況は、楽しい。ついでに、彼女たちはみんな私に良い情報をもたらしてくれる。新しい気づきを与えてくれる。

私は本たちの熱烈なアピールを身に受けながら、欲望のままに本に触れる。「こっちは表紙がかわいいねえ」「なんだか勉強になることが書いてありそうだなあ」「お、好きな作家の本が平積みされている」そんなことを思いながら、気まぐれに。女性を値踏みする悪いおじさんのように。それはもう下品に。

立ち読みしていたら内容がいい感じだったので、買おうと思って手元にキープしていた本。しかし別の雑誌に興味がうつった瞬間、「これは買わなくていいかな」という気持ちが芽生える。キープしていた本を元の本棚に戻す。罪悪感なんて湧かないけれど、もしかしてこれって、人間に例えると大分タチの悪いことしてる?

本屋に行くと、元気になる。それは本屋の中をうろつくのはそれなりに運動になるからかもしれないし、新しい情報のシャワーを浴びて脳が刺激されるからかもしれない。でも一番の理由は、あの空間に入ると自分の欲望がなんとなく増幅するから、な気がする。英語の参考書が目に入れば「もっと勉強しなきゃ」、ファッション誌を手に取れば「もっとおしゃれにならなきゃ」、ミニマリストの本を読んで「もっと良い生活をしなきゃ」という欲望を与えてくれる。これが生きる活力ってやつなのか。いや、生きる活力なんてカッコつけちゃいけない。きっとちやほやされて舞い上がってるだけのほうが正しい。